新型コロナウイルス

新型コロナウイルスと目-感染しない、感染させないために

この記事は令和2年4月の時点で書いたものです。
その後、感染の拡大による症例数の増加があったり、症例報告の論文も増えたりして、新たなことが分かってきました。
新しい情報をふまえた記事はこちらです。
→「新型コロナウイルスと目-感染しない、感染させないために その2

 

新型コロナウイルスは口や鼻の粘膜から感染しますが、目の粘膜である「結膜」からも感染する可能性があるといわれています

新型コロナウイルスに感染した患者さんの咳やくしゃみ、会話しているときの唾液に含まれるウイルスが顔にかかった場合、結膜からウイルスが体の中に侵入する可能性があります。また、患者さんがさわってウイルスが付いたドアノブや椅子、パソコンのキーボードなどをさわって、そのままの手で自分の目をこすったりさわったりした場合にも、ウイルスが体の中に侵入する可能性があります。

また、新型コロナウイルスに感染した患者さんの1~3%に結膜炎を合併することが分かっています

新型コロナウイルスによる結膜炎は、新型コロナウイルス感染症のどの段階にも合併しますが、発熱や咳が出る前の初期の段階に、結膜炎を発症することがあります。つまり、眼科に受診した時点では結膜炎の症状しかなくても、実は新型コロナウイルスに感染していて、後日、発熱・咳・全身倦怠感などの症状が出て、検査をしてはじめて新型コロナウイルスに感染していたことがわかる場合がある、ということです。

新型コロナウイルスによる結膜炎では、充血、異物感、流涙、結膜浮腫、眼脂、耳前リンパ節腫脹、などの症状が報告されていますが、これらはコロナウイルス以外のウイルス性結膜炎とほとんど同じですし、細菌性結膜炎やアレルギー性結膜炎でもみられることがあります。つまり、流行性角結膜炎(はやり目)など、新型コロナウイルス以外によるウイルス性結膜炎、細菌性結膜炎、アレルギー性結膜炎、などと、新型コロナウイルスによる結膜炎とを、はっきりと見極めることは困難です。新型コロナウイルス感染症で、涙の中にコロナウイルスが出現している可能性が指摘されていますが、涙の中のコロナウイルスを検出する方法はまだ一般的ではありません。

目からの自分の感染を防ぐ、ということと、他の人に感染させない、という2つの意味で、十分な手洗い目にさわらないこと重要です。

  • 石鹸と流水で、20秒以上かけてしっかり手を洗って下さい。点眼をしたり、コンタクトレンズをつけ外ししたりするときは、特に念入りに洗って下さい(自分にウイルスを感染させないため)。
  • 洗っていない手で目をさわらないようにして下さい(自分にウイルスを感染させないため)。
  • 目をさわったあとに手を洗わずに、あちらこちらをさわらないようにして下さい(自分から他の人にウイルスを感染させないため)。
  • 涙や目やにを拭いたり、かゆみのために目をこすったりするときは、目に直接さわらないようにティッシュペーパーを使い、その場ですぐに捨てるようにして下さい(自分から他の人にウイルスを感染させないため)。

これらの注意点は、一般的なコロナウイルス感染症対策としても有効ですし、コロナウイルス以外のウイルス性結膜炎や細菌性結膜炎への対策としても有効ですので、みんなで実行していきましょう。