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1.眼瞼内反症とは(睫毛乱生・睫毛内反症・眼瞼内反症の違い)

まつげは本来、まぶたの縁から外側へ(眼球とは反対側へ)自然にカールし、眼球にあたらないように生えています。しかし、何らかの原因でまつげが内側へ(眼球の方へ)向かってしまう状態が「さかまつげ」です。一般に「さかまつげ」と呼ばれる状態は、3つの病名を含んでいます。

  1. 睫毛乱生(しょうもうらんせい)
  2. 睫毛内反症(しょうもうないはんしょう)
  3. 眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)

正常な眼瞼

正常な眼瞼

睫毛乱生

睫毛乱生

睫毛内反症

睫毛内反症

眼瞼内反症

眼瞼内反症

睫毛乱生(しょうもうらんせい)は、まぶたの向きには異常がなく、正常なまつげの中で眼球に向かって生えているまつげが何本かある状態をいいます。まつげの毛根の周囲で起きた炎症による傷跡などが原因で、まつげの生える方向が不規則になってしまうものです。まぶたには異常がなくまつげだけに異常があるということで、厳密な意味、狭い意味での「さかまつげ」ということになるかと思います。

睫毛内反症(しょうもうないはんしょう)は、乳幼児において、まぶたの向きはほぼ正常であるにも関わらず、下まぶたの皮膚や皮下脂肪が過剰なことが原因で、盛り上がった皮膚が睫毛を内側に押し込んでいる状態です。次にあげる眼瞼内反症の1つのタイプという考え方から、皮性眼瞼内反症と呼ばれることもあります。

眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)は、まつげだけではなく、まぶた全体が内側を(眼球の方を)向いてしまう状態で、まつげも内側を向きます。主に加齢により、下まぶたを支えている組織やまぶたを閉じる筋肉がゆるんだり、まぶたの皮膚がたるんだりすることが原因とされています。生まれつきの眼瞼内反症(先天眼瞼内反症)もあります。

2.眼瞼内反症の症状

どのタイプの「さかまつげ」でも、まつげが眼球に当たることで、角膜や結膜を傷つけてしまいます。症状としては、目がコロコロする、目が痛い、涙が出る、目やにが出る、などが起こってきます。
傷がひどくなると、角膜の感染症や角膜潰瘍(かくまくかいよう)を生じることもあります。また、子どものうちから角膜の傷を繰り返すことにより、角膜に歪みを生じて強い乱視になったり、角膜の濁りが残ったりすることもあります。

3.眼瞼内反症の治療

治療はタイプによって異なります。睫毛乱生は、眼球に当たっているまつげを抜く処置(睫毛抜去)を行います。

子どもの内反症(先天眼瞼内反症や睫毛内反症)は、成長につれて自然に治ることが多いため、通常、学童期くらいまでは手術は行わずに様子をみます。角膜の傷や乱視によって弱視(視力の発達が遅れること)が心配される場合には、低年齢のうちに手術を行った方がよいことがありますので、角膜の状態や視力の確認のため、定期的な受診をお勧めします。

成人の眼瞼内反症は、手術でまぶたの向きを矯正するのが効果的です。当院では局所麻酔の日帰り手術を行っています。
眼瞼内反症の手術には、皮膚と筋肉を切除する方法(皮膚切開法)と皮膚を切開しない方法(縫合法)があります。

  • 皮膚切開法は、しっかりした矯正効果が得られますが、手術時間は縫合法よりも長く、術後の腫れもやや強めになります。
  • 縫合法は、手術時間も短く術後の腫れも軽いのですが、矯正効果は穏やかで、元に戻ること(再発)があります。
保手浜眼科では 再発を少なくするための独自の工夫を加えた縫合法を主に行っています。負担の少ない縫合法の利点を活かしながら、十分な矯正効果が長く持続できます。症状の程度やまぶたの状態によっては皮膚切開法を選んだ方がよい場合もありますので、状態を見きわめて最良の選択をいたします。