当院では、令和2年11月から涙道手術を再開します。
新型コロナウイルス感染を懸念して、約半年間、涙道手術を控えてきましたが、来月から、以下のような感染対策を充分に講じたうえで、手術を再開することにしました。
厚生労働省が2020年9月4日に発行した、「新型コロナウイルス感染症. 診療の手引き. 2020. COVID-19. 第3版」によると、新型コロナウイルス感染症の感染経路として、接触感染・飛沫感染のほか、エアロゾル感染の可能性が考えられています。
エアロゾルとは、空気中に漂う微小な液体または固体の粒子のことです。エアロゾル粒子の大きさには明確な定義はありませんが、咳やくしゃみなどによる飛沫よりも小さく軽い粒子であるとされています。
→新型コロナウイルス感染症. 診療の手引き. 2020. COVID-19. 第3版
飛沫は,通常5μm以上の大きさがあり,しかも水分を含んで重さがあるため,1~2mしか飛ばずすぐに地面や床に落下してしまいます。飛沫を浴びなければ飛沫感染は成立しないので,2mのソーシャルディスタンスが飛沫感染を防ぐための手段として有効といわれています。
これに対して,エアロゾルは,小さくて軽いためにすぐには地面や床に落下せず,長い間空気中に漂い続けます。エアロゾル粒子の中にウイルスが含まれていると,これを口や鼻から吸い込むことで感染を引き起こします。これがエアロゾル感染です。
医療現場においてエアロゾル対策が必須ですが、当院でも以下のような対策をします。
- まず、エアロゾルを発生させる可能性があるとされる、電気メス・電気ドリル・吸引などの手技をできるだけ控えることにより、エアロゾルの発生を避けることが重要です。当院では、電気メス・電気ドリル・吸引などの手技を最小限にします。
- 次に、発生したエアロゾルを吸い込まないために、マスクを着用することは、エアロゾル感染を防ぐ最も効果的な方法であるとされています。当院では、日常診療において常にサージカルマスクを着用していますが、エアロゾル感染のリスクが高いとされる涙道手術の際には、グレードの高いN95マスクを着用し、医師、スタッフ、患者さま、相互の感染を防ぎます。
- 飛沫やエアロゾルが飛散することが多い歯科治療においては、新型コロナウイルス感染症で注目されるよりも前からエアロゾル対策に力を入れておられたようです。歯科でのエアロゾル対策の一つとして、「口腔外バキューム」という吸引装置があります。歯科治療中に飛散する、水・唾液・血液・削りくずなどを効率よく吸引して、空気中へのエアロゾルの拡散を防ぐものです。当院では、このたび「口腔外バキューム」を導入しました。これを常に使用しながら手術を行います。
当院では、このように二重、三重にエアロゾル対策をとったうえで、令和2年11月から涙道手術を再開することにしました。
当院で導入した口腔外バキューム