先日、このホームページ内の「診療内容」の「眼瞼内反症」の記事を更新しました。
その補足として、このブログを書かせていただきます。
まつげは本来、まぶたの縁から外側へ自然にカールし、眼球にあたらないように生えています。しかし、何らかの原因でまつげが内側へ(眼球の方へ)向かってしまう状態が「さかまつげ」です。一般に「さかまつげ」と呼ばれる状態は、3つの病名を含んでいます。
①睫毛乱生(しょうもうらんせい)
②睫毛内反症(しょうもうないはんしょう)
③眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)
⓪の図は、正常なまぶたの状態です。
まつげは、眼球の反対側に向けて自然にカールし、眼球にはあたっていませんね。
ところが、①の図は、睫毛乱生(しょうもうらんせい)といって、まぶたの向きには異常がないのですが、正常なまつげの中で、眼球に向かって生えているまつげが「何本か」ある状態です。まぶたには異常がなくまつげだけに異常があるということで、厳密な意味、狭い意味での「さかまつげ」ということになるかと思います。
②の図は、睫毛内反症(しょうもうないはんしょう)といいますが、
まぶたの向きはほぼ正常であるにも関わらず、下まぶたの皮膚や皮下脂肪が過剰なことが原因で、盛り上がった皮膚がまつげを内側に押し込んでいる状態です。主に乳幼児にみられます。
③の図は、眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)といいます。
これは、まつげだけではなく、まぶた全体が内側を(眼球の方を)向いてしまう状態です。下まぶたの形がおかしいことが図を見てもわかりますね。したがって、おのずとまつげも眼球にあたってしまいます。原因としては、主に加齢により、下まぶたを支えている組織やまぶたを閉じる筋肉がゆるんだり、まぶたの皮膚がたるんだりすることで起こります。ほかに、生まれつきの眼瞼内反症(先天眼瞼内反症)もあります。
医学的には、①の睫毛乱生が、厳密な意味での「さかまつげ」に相当するのですが、一般的には②の睫毛乱生症や③の眼瞼内反症も「さかまつげ」と呼ばれることが多いようです。
日常の診療において、患者さんとの間で食い違いを感じることをしばしば経験しますので、これらの違いについてあらためて説明させていただきました。
これらの治療については以下の記事をご覧ください。