うちの子が、小学校から、「斜位の疑いがありますので、眼科の受診をお勧めします」というプリントをもらってきたわ。
斜位っていったいどういう病気かしら? 斜視は聞いたことがあるけれど、どう違うのかしら」・・・。
新しい年度が始まり,尾道市や福山市の学校・幼稚園・保育所では、眼科の受診を勧めるお手紙をお子さんが持って帰られたご家庭も多いかと思います。
保育園児・幼稚園児・小学生・中学生がかかる可能性の高い疾患を、眼科医の立場からピックアップしてみました。
1,屈折異常
「ピントが合っていない」ために,裸眼(らがん)(眼鏡やコンタクトレンズを装用していない状態)での視力が十分ではない状態です。
近視,遠視,乱視(近視性乱視,遠視性乱視,混合乱視)などのタイプがあります。
学校での検査だけではどのタイプの屈折異常なのかは分かりませんが,眼科で視力検査をすれば,どのタイプの屈折異常なのかを明確に区別することができます。
保手浜眼科では,検査の結果と症状の程度を見て、眼鏡やコンタクトレンズが必要かどうかのアドバイスをします。
また初期の近視に対する進行予防治療も行っています。
2,斜視・斜位
左右の目が同じ方向を向いていなくて,片方の目が内向きまたは外向きにずれている状態です。
ずれ方の違いによって、斜視と斜位の2通りがあります。
①斜視(しゃし)とは、目隠しをしていないときでも目の向きがずれているもの、
②斜位(しゃい)とは、目隠しをしないで両目が開いているときには同じ方向を向いているけど、片目を隠したときに、隠した方の目の向きがずれるもの、
です。
①の斜視の場合は、見た目の問題だけでなく,視力の発達が遅れる弱視の原因になったり,両目を使うことでしか得られない感覚(たとえば立体感など)が弱くなったりすることがあります。まれに,物が二重に見えたり,目が疲れやすくなる原因になったりすることもあります。
一方、
②斜位の場合は、見た目はふつうですし、視力も正常に保たれることが多いので、そのまま様子をみることも多いです。
しかし、斜視であるのか斜位であるのか、また治療が必要なのかどうかは、一度、眼科に受診して専門医の説明を受けることをお勧めします。
保手浜眼科では,それぞれのタイプや視力に応じた適切な治療を行っております。
3,結膜炎(細菌・ウイルスなどによる感染性の結膜炎)
「しろめ(球結膜)」や「あかめ(瞼結膜)」に,細菌やウイルスなどの病原体が感染したもの(感染症)で,目の充血や目やになどの症状が現れます。
感染性結膜炎は学校内や家庭内で感染が広がる可能性があるため,早期に適切な治療が必要です。
細菌による感染性結膜炎の場合は,抗菌薬が有効ですので,抗菌薬の点眼薬を処方します。
4,アレルギー性結膜炎
花粉やハウスダストなどに対するアレルギーによって生じる「アレルギー性結膜炎」は,目のかゆみが特徴的で,目の充血やまぶたの腫れを伴うことがあります。
鼻水やくしゃみなどの,アレルギー性鼻炎の症状を伴うこともあります。
目やにが出ることもあり,3.の「感染性結膜炎」との区別が難しい場合がありますので,眼科で適切な診断を受けることが大切です。
治療には抗アレルギー薬の点眼薬を使います。
アレルギー性鼻炎の症状がある方には内服薬を使うこともあります。
季節性がはっきりしているものであれば,症状が現れる前の段階からの治療(初期療法)がさらに効果的なので,保手浜眼科では次のシーズンへの備えについてもアドバイスをしています。
5,眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)
「さかまつげ」の一種です。
一般に「さかまつげ」とよばれるものには,
①睫毛乱生(しょうもうらんせい),
②睫毛内反症(しょうもうないはんしょう),
③眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)の3種類があります(→「眼瞼内反症」についてはこちらをご覧ください)が、
小児期・学童期に多くみられるものは③の眼瞼内反症です。
この眼瞼内反症は、まつげだけではなく,まぶた全体が内側を(眼球の方を)向いてしまう状態です。
まつげが眼球に当たることで,角膜や結膜を傷つけてしまい,目がコロコロする,目が痛い,涙が出る,目やにが出る,などの症状が現れます。
症状が軽い場合は点眼薬で様子をみますが,重症の場合は,角膜の感染症を起こしたり,強い乱視になったりすることもありますので,手術を積極的にお勧めすることがあります。
保育園児・幼稚園児・小学生・中学生に見られる疾患として、これら以外にも、眼瞼炎、麦粒腫、霰粒腫、眼瞼下垂などがあります。
この時期、今一度、お子さんの眼の健康状態を確認し、親子で話しあう機会にしていただければと思います。
保手浜眼科では、リラックスしてご受診いただける環境、親切丁寧な検査と診察、そしてお子さんや親御さんのご希望もお聞きしながら、それぞれの方に合った適切な医療を提供しております。