翼状片は、たまに耳側(外側)にできることもありますが、ほとんどの場合、鼻側(内側)から発生します。そのため、耳側にできるものを偽翼状片とよんで区別しています(耳側にできるものは本物の翼状片ではないという意味ですね)。それくらい、翼状片は鼻側にできるもの、というのが当たり前のように考えられているわけです。
では、翼状片はなぜ鼻側にできるのでしょうか。
翼状片の原因として、日光とくに紫外線の影響が考えられています。海辺や島に住む人、農林漁業など屋外で仕事をしている人、テニス・ゴルフ・サーフィンなどアウトドアスポーツをよくする人、などに多くみられることから、紫外線を多く浴びることが翼状片の発生に大きく関わっていることはほぼ間違いないだろうといわれています。
日光が目の表面のどの部分に当たりやすいのかについては、いろいろな考え方があります。
①日光は上方から当たりますが、上方からの光は眉毛(まゆげ)や睫毛(まつげ)によってある程度さえぎられます。これに対し、
②めがしらの皮膚に当たった光は皮膚で反射するため、鼻側の結膜は日光にさらされやすいという考え方があります。さらに、
③耳側からの光は、耳側の角膜を通って眼球内(前房内)に入る際に、角膜のプリズム作用によって鼻側の角膜内面に集まり、鼻側の結膜を角膜内面側から照らすことになる、という新しい説があります。角膜のプリズム作用は、どの方向からの光でも同じように起こるはずですが、耳側からの光はさえぎるものが最も少ないため、鼻側の結膜が最も日光にさらされやすい、すなわち紫外線を最も多く浴びることになります。
耳側からの光が鼻側の結膜を照らす
このように考えると、翼状片が鼻側にできやすいことが説明できるのではないかと思います。
だとすると、私たちにできる予防法はどんなものでしょうか。
屋外に出るときに、紫外線カット効果のある眼鏡やサングラスをかける、つばの広い帽子をかぶる、日傘をさす、など、一般的な紫外線対策はどれも翼状片の予防に役立つと考えられます。帽子や日傘は、暑い時期の熱中症対策としても有用ですし、また、③のメカニズムから考えると、UVカット機能のあるコンタクトレンズを装用することも、翼状片の予防になるかも知れません。