眼疾患

赤ちゃんの涙道にやさしい先天鼻涙管閉塞の治療(第4回)

4回連載でお送りしてきたブログも最終回となりました。
前回のブログでは、保手浜眼科で行っている先天鼻涙管閉塞の治療法について、当院オリジナルの治療法と治療器具をご紹介しました。

最終回の今回は、保手浜眼科オリジナルの治療器具(バンガーター・保手浜針)に込められた、赤ちゃんの涙道をできる限り傷めないで、より効果的な治療を行うための工夫をご紹介します。


6.当院オリジナルの器具の特徴とその意味
当院オリジナルのブジー型洗浄針は、次のような特徴を持っています。
①洗浄液の出口は、先端に開くのではなくフルートの吹き口のように横向きに開いており、先端は丸く仕上げてあります

これには次のような意味があります。
洗浄液の出口が先端に開いていると、口の開いた先端で涙道を傷めてしまう危険性がありますが、オリジナル針は先端が丸くなめらかに仕上げてあるので、通常のブジーと同様に涙道を傷めにくくなっています

②洗浄針全体は,涙道の形状に合わせて緩やかにカーブしています

これには次のような2つの意味があります。
● 第一に、涙道の形状は決して直線的ではないので、緩やかなカーブを持った器具の方が涙道の走行に近くなるため、より安全です
● 第二に、カーブのある針を回転させると、その先端が針の太さよりもずっと大きな円を描くので、閉塞した部分を「突き破る」のではなく、「拡げる」「引き剥がす」力で、より安全かつ効果的に開放することができます

③洗浄針の先端から10mmと15mmのところにマークが印してあります

これには次のような意味があります。
涙道プロービングの際には、ブジー(またはブジー型洗浄針)の先端が涙嚢に入ってから方向を変えるのですが、涙嚢に入らないうちに方向を変えると、涙小管を傷めてしまう危険性があります。
洗浄針に印されたマークによって、ブジー型洗浄針の先端が涙嚢に入っていることが確認しやすくなるので、涙道プロービングを安全・確実に行うことができます

このブジー型洗浄針を、洗浄液を入れた注射器に取り付けて使います。
ブジー型洗浄針で閉塞が開放できたら、器具を入れ替えることなく通水検査を行って、開通したことを確認します。

器具を入れ替えることなく処置と検査を連続して行えることにより、器具で涙道を傷める危険性を減らせます
これもブジー型洗浄針の長所です。

 

このように、当院では、赤ちゃんの涙道を傷めないことを最優先とし、オリジナルの治療法オリジナルの器具を駆使して、赤ちゃんの涙道にやさしい先天鼻涙管閉塞の治療を行っています。


他の医療機関で治らなかった症例
複数回の治療で治らなかった症例など難しい症例にもよい結果が得られています。
総合病院遠方の医療機関からのご紹介も数多く引き受けています。

 

お子さんやお孫さんが涙道閉塞と診断された、治療が必要だといわれた、などで不安に思っておられる方は、ぜひ保手浜眼科にご相談下さい。

 

プラタナス4.17

当院のシンボルツリーであるプラタナス(すずかけの木)の若葉が芽吹き始めました。